ミス・遅れ・属人化よサヨナラ!受発注〜出荷業務のスマート改善術

そのやり方、いつまで続けますか?

製造業の現場では、未だにFAXでのやり取り、紙の伝票、製造状況の電話での確認・・・とアナログが多いです。
また、PCを使っていたと思ったらExcelやAccessに手入力、と中長期の事業継続が心配になる会社が多いです。

「昔からこのやり方でやってきた」「特に問題ないから変えなくてもいい」――そんな慣れたやり方が、実は生産性を下げる原因になっているかもしれません。

入力ミスや伝達漏れ、確認のたびに発生するちょっとした手間。それが積み重なると、結果的に納期の遅れや残業の増加につながります。

一方で、最近では同業他社が見える化・自動化に取り組み、「もう人の勘や根性では回らない」現場を少しずつ変え始めています。

この記事では、
✅ なぜ今「受発注〜出荷業務」の見直しが重要なのか
✅ どんなIT改善が効果的なのか
を、現場目線でわかりやすくお伝えします。

現場のリアル──「人が頑張る」仕組みは限界に来ている

「入力作業の手間が半端ない!」
「出荷状況を知りたいのに、担当者に聞かないと分からない…」
「誰がどこまで作業してるのか、見えない」

これは、実際の現場からよく聞こえてくる声です。

多くの中小製造業では、人が頑張ることで成り立ってきた業務がいまも残っています。
たとえば、営業がメールで受注 → Excelに入力 → 購買担当が別シートへ転記して発注 → 出荷担当は事務担当へ連絡し、事務担当がExcelへ手入力…。

このように、「人がつなぐ仕組み」は一見うまく回っているようでも、属人化・伝達漏れ・二重入力といったリスクを常に抱えています。

そして担当者が休んだ途端に業務が止まる、保存忘れがたまに起こる、トラブルが起きたときも「どこでズレたのか」を追うのに時間がかかる――。

💡 「人が頑張る」から「仕組みで守る」への転換。

これから採用がもっと厳しくなる中、これが出来ないと事業継続がどんどん厳しくなります。

IT活用は単なる「効率化」ではなく、
✅ ミスを防ぐ安全装置
✅ 現場を支えるサポートツール
として機能します。
つまり、ITは人の努力を減らすためではなく、「人を守るため」の仕組みなのです。

なぜ「受発注〜出荷業務」が重要課題になるのか

製造業の流れを見てみると、営業 → 購買 → 生産 → 出荷といくつもの工程が並びます。
その中で、最も情報が入り乱れ、トラブルが起きやすいのがこの「受発注〜出荷ライン」です。
ここには、営業、製造、購買、出荷、経理など複数の部署が関わり、顧客、仕入先と外部まで関わり、ちょっとしたズレが全体に波及してしまいます。


よくある現場の声:

  • 「トラブル時に受注情報をExcelで確認するだけで半日が終わる」
  • 「部品の納入状況を毎回人に聞かないと分からない」
  • 「出荷スケジュールが急に変わっても、共有が遅れて現場が混乱する」

こうした問題は決して特殊ではなく、どの製造現場でも起こり得る日常の風景です。
原因はシンプルで、データや情報が部門ごとに分断されていることにあります。

営業はExcel、購買は別のExcel、製造は紙、出荷は紙とExcel、そしてそれらを会計ソフトに入力──
それぞれが「自分のやり方」で管理しているため、情報の流れが途中で止まりやすく、「どこまで進んでいるか」が見えません。


例えば、こんなケースもあります。
営業担当がメールで受注 → 事務担当が受注内容をExcelに入力 → 購買担当が転記して発注書を作成 → 発注直前に顧客が仕様を変更 → 購買は古いデータのまま発注してしまう。

結果、製品が仕様違いで気づき再発注。納期は遅れ、現場はバタバタ――。これが日常茶飯事の会社を見たことがあります。
まさに、「連携のズレ」が引き起こす典型的なトラブルです。

⚠️そして怖いのは、こうしたミスが「人の注意力」に頼る限り起こりうること。
忙しい現場では、「誰が悪い」ではなく、「仕組みが限界」なのです。

💡だからこそ、「受発注〜出荷業務」は経営課題
ここを整えることは、単に事務効率を上げるだけではなく、
✔️ 顧客対応力(受注・納品・請求対応)の向上
✔️ 作業難易度の軽減と作業効率の向上
✔️ 生産のムダの削減
といった全社的な効果につながります。

実際、この部分を見直した企業では、「確認作業が1/3に」「問い合わせへの回答が即日対応に」「事務作業の効率が2倍に」といった成果が生まれます。
「受発注〜出荷ライン」を整えることは、会社全体の「血流」を整えることです。

ITで変わる!3つの改善ポイント

「IT導入」と聞くと、「コストがかかりそう」「現場が混乱しそう」「ITよくわからないから何となく怖い」と身構える方も多いでしょう。
実際に効果を上げている企業の多くは、いきなり難しいことをせず「ちょっとした仕組みの見直し」から始めています。

ここでは、特に成果が出やすい3つの改善ポイントを紹介します。

① 情報共有と業務標準化

情報共有と業務をシンプルにすることからスタートすることをオススメします。
顧客ごとや仕入先ごとに合わせた対応を必要以上にやり過ぎていませんか。それを少し整理して例外処理を減らし、ある程度業務をパターン化して、パターンごとにやるべきことを明確にします。
最終的に作業手順書を作成・共有して、新しい担当者でも迷わず作業が進められるようにすることがポイントです。
作業手順書や記入フォームはなるべくデジタルで更新履歴まで管理すれば、「古いマニュアルで作業してしまった」というミスも防げます。

💡 誰が見ても同じ情報にアクセスできる環境は、人が入れ替わっても業務を止めない「安心の仕組み」になります。
また、現場でのトラブル対応もスピーディーに。自然とチーム全体の意識が「個人プレーから連携プレー」に変わっていきます。

② 手作業・重複入力の自動化

効果が出るために取り組むモチベーションが高くなりやすいのが、「入力作業の自動化」です。
Excelやスプレッドシートの関数や簡単なプログラムを使って転記を極力減らします。
簡単なプログラムならChatGPTなど生成AIに聞けば作ってくれます。ただ、あまり凝ると維持運用が大変になるために、ごく一部だけに止めることが大切です。
さらに高度にするならRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を活用すれば、例えば受注内容をメール等から自動反映し、出荷伝票まで自動で作成する、といったことまでできます。

💬 少し極端な例ですが、
「Excelでの入力をRPA化しただけで、入力工数を90%削減・ミスゼロを達成した」
という事例もあります。

💡 人が毎回同じ作業を繰り返すよりも、仕組みに任せて確認に時間を使う――そんな業務設計に変えることが、「現場を守る第一歩」です。

③ 受注/発注/在庫等の「見える化」

特に効果が高いのが、「どこまで進んでいるか/どれが終わっているか」を見えるようにすること。
営業が「この品番、在庫ある?」と出先からスマホで確認できる。購買担当が「この注文、部品は届いてる?」をすぐに把握できる。事務担当が「今月の請求対象の出荷はどれ?」を一瞬で確認できる。
これだけでも、現場のストレスは一気に減ります。

実現するにはある程度のシステム化が必要で、中小製造業に最適なツールがなかなか選べずに取り組むのは大変です。しかしそれだけの価値があります。
実現できると、
✔️ 確認目的のコミュニケーションが激減
✔️ 顧客への回答スピードが向上
✔️ 社内全員が同じ情報を見られる状態に
✔️ 新しい人でも早く業務がこなせる

💡 最初から大きなシステムを入れる必要はありません。
まずは、共有フォルダやGoogleスプレッドシートなど、「誰でも見られる・誰でも更新できる環境」からスタートしましょう。その環境を整えながらシステム化の検討をするといいです。


これら3つの改善を組み合わせることで、「残業が減った」「納期遵守率が上がった」「顧客からの信頼が増した」といった成果を上げている企業が増えています。

ITは、特別な知識を持った人のためのものではありません。
「現場を支える道具」として使いこなす時代が、いま始まっています。

現場の成功事例──「少しのIT」でここまで変わる

「ウチのような小さな会社じゃ、IT導入なんて無理だろう」
そう感じていた企業が、実際には「ほんの少しの仕組み化」で驚くほど改善しています。
ここでは、実際に成果を出した中小製造業の事例を2つ紹介します。

事例①:転記の手間を自動化して、ミスゼロへ

ある金属加工メーカーでは、営業がメールで受けた受注内容をExcelに転記し、購買担当がさらに別シートへ転記していました。
1件の処理に平均30分。転記ミスも月に数件発生していました。

そこでRPAを導入し、メール受信 → データ抽出 → Excel入力 → 伝票作成までを自動化。
結果、作業時間は30分→10分に短縮、入力ミスはゼロに。

事務担当の残業がほぼなくなり、「入力に追われる日々から、確認・改善に時間を使えるようになった」と現場も笑顔に。

事例②:在庫の見える化で、倉庫業務を効率化

別の樹脂成形メーカーでは、倉庫担当が紙の出荷リストを見ながら在庫確認をしていました。
どこに何があるかが分からず、毎日のように「探す時間」が発生。出荷ミスも多く、残業も常態化していました。

クラウドの在庫管理ツールを導入し、在庫・出荷・納品状況を一元化。
出荷担当がタブレットで在庫状況をリアルタイムに確認できるようになったことで、月20時間以上の残業削減に成功しました。

さらに、データを基に補充タイミングを自動通知する仕組みを取り入れ、「探す・数える」時間がゼロに。結果的に、社員の満足度も大きく向上しました。


✅どちらの企業も共通していたのは、

  • いきなり全体を変えようとしなかった
  • 現場の「使いやすさ」を最優先した
  • 小さく始めて、効果を実感してから次の段階へ進んだ

という点です。

IT導入の成功ポイントは、最初から完璧を目指さないこと。
小さな成功体験を積み重ねていくことが、現場の信頼と定着につながります。

IT導入は段階的でOK──現場に負担をかけずに進めるコツ

「IT導入に興味はあるけど、何から始めたらいいか分からない」
「現場が混乱したら困るし、うちはまだ早いかも…」
そんな声をよく耳にします。

でも実は、うまく進めている企業ほど、一気に変えようとはしていません。
最初は小さく始めて、効果を確認しながら少しずつ広げていく――それが、現場を疲弊させずに定着させる一番のコツです。


ステップ①:現状の棚卸しから始める

まずは、いまの業務のどこに時間がかかっているかを「見える化」しましょう。
Excelのどこに転記しているのか、どの作業が毎回同じなのかを洗い出します。

💡 たとえば、

  • 「毎日30分かけてやっている入力」
  • 「確認のために何度も社内連絡している」
    このような「繰り返し作業」が、自動化のヒントになります。

ステップ②:小さな自動化から試す

次に、影響範囲が小さいところから着手します。
最初から全システムを入れ替えるのではなく、まずは転記作業や在庫リスト更新など、「1工程だけ自動化」してみるのがポイント。

小さな成功体験が生まれると、現場にも「便利になった!」という実感が広がり、次の改善へつながります。


ステップ③:現場と一緒に進める

IT導入を上から押し付ける形にすると、必ず反発が起きます。
現場の意見を聞きながら、「誰が・どこで・どう使うか」を一緒に決めていくことが重要です。

導入後も、「実際に使ってみてどうだったか」を定期的に共有。
「この部分はもっと簡単にしたい」といった声を拾いながら、改善を続けると定着しやすくなります。


📌 ポイントは、「完璧な仕組み」を作ろうとしないこと。
まずは動かしてみて、現場で使いながら整えていく方が成功率は高いです。

そして、うまくいった部分はしっかり評価し、次の改善につなげる。
そうした小さな積み重ねが、結果として大きな変化を生み出します。

経営判断で変わる──現場がラクになる改革を

IT導入を現場任せにしていませんか?
実は、ITの活用を進められるかどうかは、経営者の判断次第で大きく変わります。

どんなに優れたツールを導入しても、「なぜ導入するのか」「何を変えたいのか」という方向性がなければ、現場は迷い、結局「形だけのDX」になってしまいます。

経営者が握るべき3つのポイント

1. 目的を明確にする
「ミスを減らしたい」「納期遅れをなくしたい」など、目指すゴールをはっきり言葉にすることから始めましょう。
目的が明確になると、ツール選びも判断がしやすくなります。

2. 成果を数字で見る
IT導入の効果は、「感覚」ではなく「数値」で確認するのが大切です。
たとえば――

  • 作業時間の削減(例:入力作業が1/3に)
  • ミス件数の減少(例:月5件 → 0件)
  • 顧客対応スピード(例:問い合わせ回答が当日対応に)
    こうした具体的な指標を設定すると、効果が見える化できます。

3. 経営と現場をつなぐ橋渡し役を決める
現場の声を拾い上げながら、IT活用を一緒に設計する存在が不可欠です。
外部パートナーや社内のIT担当など、翻訳者のような人が入ることで、経営と現場の認識ギャップが埋まり、導入がスムーズになります。


IT導入は「コスト」ではなく「投資」。
しかも、売上を上げるためだけの投資ではありません。
社員の働きやすさ、残業削減、トラブル防止――それらも立派な経営効果です。

経営者がこの視点を持つことで、ITは単なるツールから「働き方改革の武器」に変わります。

最初の一歩は「一人で抱え込まない仕組み」から

製造業の現場では、今も人の努力と経験で成り立っている業務が少なくありません。
しかし、ミスや遅れ、情報の行き違いは、どれだけ気をつけても完全には防げないのが現実です。

だからこそ大切なのは、「頑張り方」を変えること。
誰か一人が背負うのではなく、「仕組みで支える体制」を整えることが、これからの製造現場を守るカギになります。

まずは、いまの業務の中で――

  • どこに時間がかかっているのか
  • どの作業が人に依存しているのか
  • どこでミスや確認が発生しているのか
    を整理してみてください。

それだけでも、改善のヒントは見えてきます。
「仕組み化」とは、何か大がかりなシステム導入ではなく、人がラクに動ける環境をつくることから始まります。


IT導入は難しいことではありません。
小さく試して、使いながら調整し、次につなげていく。
その積み重ねが、現場の安心と生産性を確実に高めていきます。

まずは、一人で抱え込まない仕組み」を持つことから始めてみませんか?

「ITおまかせアシスタント」では、貴社の状況に合わせて、無理のないスタートをご提案いたします。

ちょっとした不安、現状の整理、料金のことまで、どんなことでもお気軽にお尋ねください。

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