ITは“経営課題”です|今すぐ考えたい情シスアウトソーシング10選【中小製造業向け】

その“ちょっとしたITトラブル”や“ITへの違和感・気づき”、実は経営課題です

「パソコンの動きが遅い」「ネットがつながらない」「プリンターが急に動かない」――。こんな日常のトラブル、どの会社でも耳にしたことがあると思います。現場では「誰に聞けばいいの?」とざわつき、結局パソコンに詳しい人が呼び出される。しかもその人は本来、製造や営業に集中すべき社員。気づけば1時間近く作業が止まり、現場の手も止まってしまう。

「まぁ仕方ないか」で済ませがちですが、こうした小さな“ロス”が積み重なると、実は大きな経営リスクになります。例えば、1人30分の対応を月10回×社員5人が行うと、月に25時間。時給2,000円換算なら、毎月5万円相当の損失です。しかもそれは直接的な人件費だけでなく、「商談に遅れる」「生産ラインが止まる」など、目に見えない損失や非常に大きな損失も含んでいます。

さらに古いITツールを使い続けることもリスクです。未だにAccessや紙・FAXに頼る現場では、情報が属人化し、担当者が不在になれば業務が止まります。放置されたままのセキュリティ設定は、事故や情報漏えいを招く恐れもあります。

しかし現実問題として、中小企業にIT専任担当を雇うのは難しい。そこで今注目されているのが「情シスアウトソーシング」です。必要な範囲だけ外部に任せることで、手が回らないIT課題を無理なく解決できる。日々の小さなトラブルを“経営リスク”に変えないためにも、こうした外部活用の選択肢を持っておくことが重要です。

【まず理解しよう】情シスアウトソーシングは4つの型に分かれる

「情シスアウトソーシング」と一口に言っても、提供しているサービスの範囲や得意分野はさまざまです。選ぶときに混乱しないためには、まず全体像をつかむことが大切です。

近年増えてきた情シスアウトソーシングのサービスですが、成り立ちに特徴があります。

・ITの保守運用をやっていた(一番多い)
・IT人材の派遣をやっていた
・ITコンサルをやっていた
・業務改善をやっていた

などといった企業が、それぞれの特徴を活かしながらサービスをスタートさせています。

ここでは次の2つの軸で整理します:

  • 横軸:企業規模に対する適合度
     左=中小企業向け/右=中堅〜大企業向け
  • 縦軸:支援の方向性
     上=業務改善・伴走/下=保守・運用中心

このマトリクスで分類すると、以下の4つの型に分けられます。

🟦 A:中小企業向け × 保守・運用(左上)

日常のITトラブル対応、パソコンの初期設定、ネットワークの整備など、現場を止めないことに特化した支援です。いわば“外部のIT係”。社内に専任担当を置けない中小企業でも、固定費を抑えつつ安定運用ができます。

該当サービス:

🟨 B:中小企業向け × 業務改善・伴走(右上)

単なるトラブル対応だけでなく、業務フローの見直しやツール導入まで踏み込むタイプです。経営課題を「ITでどう解決するか」を一緒に考えてくれる“伴走型”。「ITが苦手で丸投げしたい」という経営者にぴったりです。

該当サービス:

🟥 C:中堅〜大企業向け × 保守・運用(左下)

規模が大きくなり、IT資産の管理や運用負荷が膨らんだ企業向け。インフラ・セキュリティ・SaaS管理など、広範囲を体系的に代行します。内部にIT部門はあるが、人手や専門性が追いつかないケースで頼られます。

該当サービス:

🟩 D:中堅〜大企業向け × 業務改善・伴走(右下)

IT部門はある程度整備されているが、新しいDXプロジェクトやシステム導入を進めたい企業向け。外部の専門家がコンサル・設計・実行支援まで入り込み、パートナーとして並走します。常駐支援やプロジェクト単位の契約も可能です。

該当サービス:

この4つに整理することで、「どのサービスが自社に合うか」を考える基盤ができます。

外注を検討する際は、まず自社がどの型に近いのかを把握することが第一歩です。

【“うちに合う”を見つける】タイプ別おすすめゾーン

ここからは、先ほど紹介した4つの型ごとに「どんな企業におすすめか」を具体的に整理します。自社の状況と照らし合わせながら読んでみてください。

🟦 A:中小企業向け × 保守・運用

向いている企業:
・IT担当が不在で、日常トラブルが多い
・パソコンやネットが止まると業務が大きく遅れる
・「とりあえず安定稼働させたい」が一番の課題

Aタイプは、まさに「外のIT係」を月額で雇うイメージです。パソコンの初期設定、ネット不具合の復旧、プリンターのトラブルなどを代行。現場が安心して本業に集中できます。

🟨 B:中小企業向け × 業務改善・伴走

向いている企業:
・ITに苦手意識が強い
・「もっと効率化したいが、何をすればいいか分からない」
・経営課題をITの力で解決したい

Bタイプは、単なる保守ではなく経営とつなげてくれる存在です。現場ヒアリングから改善提案、システム導入まで伴走してくれるので、“丸投げ”したい経営者にぴったり。

🟥 C:中堅〜大企業向け × 保守・運用

向いている企業:
・社員数が増え、アカウント管理や端末管理が複雑化している
・セキュリティリスクが大きくなっている
・既存のIT部門では運用負荷が重すぎる

Cタイプは「運用・保守の専門家」。システム台帳の整備やSaaS運用の一元管理など、社内の負担を軽減します。

🟩 D:中堅〜大企業向け × 業務改善・伴走

向いている企業:
・新しいシステムやクラウドサービスを導入したい
・DX推進に取り組みたいが、実行力が足りない
・外部の専門家とチームを組みたい

Dタイプは「プロジェクト推進の伴走者」。DXやERP導入など、経営インパクトの大きい取り組みを、外部パートナーが設計から実行まで支援します。

タイプごとに整理してみると、自社がどの選択肢に近いのか見えてきます。“今の課題に一番合う型”を把握することが、最適な外注先を選ぶ第一歩です。

【事例で納得】こんな会社にはこのタイプ

実際の企業事例を見ると、どのタイプがどんな状況にフィットするのかが具体的に分かります。

🟦 A:中小企業向け × 保守・運用

クラウドSE
所内のITを一任していた担当が退職し、詳しい社員がいなくなった事務所で導入。クラウドSEにアカウント設定やツール導入、日々の問い合わせ対応まで任せることで、専任人材を雇わずにインフラを維持。コスト面でも満足度が高く、安定した運用を実現しています。

トータルITヘルパー
情報システム部がなく、社員が「兼任情シス」として対応していた企業での事例。解決が難しかったインターネット接続の不具合に対し、プロバイダーとの交渉まで含めて丁寧に対応。訪問サポートもあり、「しっかり時間をかけて問題解決してもらえた」と高く評価されています。

パワーサポート
東京都内の法律事務所(社員10名・PC15台)では、以前の保守会社に不満があり、サーバー老朽化も課題でした。パワーサポートを導入し、設定の見直しやウイルス対策、サーバー更新を実施。不具合が減り、業務がスムーズに進むように。さらに各社員が直接ヘルプデスクに連絡できる体制になり、トラブル対応が迅速化しました。

オンライン情シス
IT担当者の急な退職への対応、現行セキュリティの強化、キッティングへの対応などを対応。業務の属人化の解消から社員研修まで対応した。

🟨 B:中小企業向け × 業務改善・伴走

ITおまかせアシスタント
製造業でクラウドPBXとWi-Fiを導入し、通信コストを従来の5分の1に削減。勤怠・労務管理システムの導入支援も行い、多様な勤務形態に対応できる環境を整備しました。さらに業務標準化を先に行った上で生産管理システムを段階的に導入し、リスクを抑えつつ無理のないDX推進を実現しています。

ITトータルサポート
現状の業務課題から業務のデジタル化支援や、PCのトラブル対応、ネットワーク環境の見直しなどを実施。「現場からでも必要な情報にすぐアクセスできるようになったのが大きいですね。」といった声があります。

🟥 C:中堅~大企業向け × 保守・運用

Kaetec
ITインフラのブラックボックス化を解消するためKaetecを導入。運用を一任することで事業継続性が高まり、IT部門の負担も軽減しました。

🟩 D:中堅~大企業向け × 業務改善・伴走

情シスくん
プロジェクト規模により従業員数が大きく変動し、情報セキュリティ管理やIT運用の効率化が課題となっていました。
そこで「情シス君」を導入し、資産管理の見直しやセキュリティソフトの一元管理、社内ヘルプデスク対応を実施し、業務効率が向上し、現場の負担軽減にもつながっています。

シェアード社員
導入前はIT管理が特定の個人に依存し、担当不在時に業務が止まるリスクがありました。利用開始後は人材を柔軟にアサインできる体制となり、緊急時にも代替対応が可能に。Accessの開発支援も1週間で解決するなど、迅速かつ的確な対応に加え、安心して任せられる“心の支え”としても信頼を集めています。

TECVAN
学校など少人数体制の情シスでは、GIGAスクール構想への対応でICTインフラ整備が急務となっていました。
テクバンはネットワーク設計からクラウド導入、運用保守までを包括的に支援し、通信環境の安定化と運用負担の軽減を実現。
その結果、情シス部門の負荷が大幅に減り、安心して活用できるICT環境が整いました。

実際の導入事例から分かるのは、情シスアウトソーシングは単なる“便利な代行”ではなく、経営や現場に直結する効果を生むということです。自社の現状を振り返り、「今の課題に最も合うタイプはどれか」を考えることが、次の一歩につながります。



※本章で紹介した事例は、各サービスの公式HPに掲載されている導入事例を要約・編集したものです。詳細は各サービス紹介の「【まず理解しよう】情シスアウトソーシングは4つの型に分かれる」に記載のリンクをご参照ください。

【比較して選ぶ】各サービスの特徴一覧

ここまで見てきたように、情シスアウトソーシングには多様なサービスがあります。最後に、それぞれの特徴を一覧にまとめました。表を見ることで、自社にとってどのサービスが「一番フィットするか」を客観的に判断できるはずです。

クラウドSEA情シス担当退職後の“空白”を埋めるケースで強み。勤怠・経費ツールのマニュアル作成など、実務的な細部支援も得意。採用難に直面する企業に「人を雇わず回せる仕組み」を提供。
トータルITヘルパーAPCやネットワークの不具合をリモートで即解決。情報システム部を持たない中小企業の“外部IT係”として高評価。スピード感重視の現場に向いている。
パワーサポートA365日対応の外部ヘルプデスク。小売業ではトラブル窓口を外注することで、情シスが在庫システム改善に集中可能。小規模でも「常に誰かが助けてくれる安心感」を得られるのが最大の魅力。
オンライン情シスAリモートで情シス機能を提供するサービス。常駐不要でコストを抑えつつ、チャットやオンライン会議を通じて迅速に対応。中小企業でも「専任情シスがいる安心感」を持てるのが魅力。
ITおまかせアシスタントB製造業特化。クラウドPBXやWi-Fi導入でコスト削減を実現しつつ、業務標準化からDX推進まで段階的に伴走。ITが苦手な経営者でも「一歩ずつ改善できる」安心感がある。
ITトータルサポートBPC・ネットワーク・サーバーまで幅広い領域をカバーする総合型サポート。トラブル対応だけでなく、機器更新やセキュリティ対策も含めて「全部まとめて任せたい」企業に向いている。
KaetecC中堅企業に特化したIT運用代行。テレマーケ業・倉庫業などで資産管理や老朽化対策を実行。セキュリティやインフラのブラックボックス化を解消し、安定稼働に貢献。
情シスくんDプロ人材派遣・コンサルティング・導入支援まで幅広く対応。製造業や飲食業の拠点展開に強みがあり、スピーディな課題解決が可能。IT部門の「即戦力補強」として選ばれることが多い。
シェアード社員D専門人材を“シェア型”で活用できる独自モデル。人事やITの集約によりコスト削減・スピード改善を両立。大企業だけでなく、成長過程の企業でも「必要なときに必要な力」を確保できる。
TECVANDMicrosoft 365やOkta導入など、最新ツール活用を得意とするDX伴走型。保険・メーカー・ガスなど幅広い業界で実績あり。IT部門を「守り」から「攻め」へシフトさせたい企業に最適。

一覧で見ると、各サービスは「強み」や「得意分野」が異なり、同じ情シスアウトソーシングでも役割が大きく違うことが分かります。大切なのは、「有名だから」「価格が安いから」ではなく、自社の課題に合ったパートナーを選ぶことです。

例えば「トラブル対応が一番の悩み」ならAタイプ、「DXをどこから始めるべきか分からない」ならBタイプ、すでにIT部門があって「運用負荷やDXを前に進めたい」ならC・Dタイプが有力候補になります。

自社の立ち位置を確認し、最もフィットするサービスを比較検討することが、失敗しない情シスアウトソーシング選びの第一歩と言えるでしょう。

【まとめ】ITの悩みは「外の力」で解決できる

ここまで見てきたように、ITトラブルや業務改善は「外部の力」を借りることで解決できます。

単発対応から、長く付き合える伴走型まで、サービスの選択肢は幅広くそろっています。自社の状況に合わせて選べば、日常の小さなストレスを解消しつつ、中長期的な経営課題にも備えられます。

まずは“自社がどのタイプに当てはまるのか”を把握し、一歩を踏み出してみることが大切です。ITを味方につけることは、これからの経営を強くする近道になります。

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